目的を考える
解法論の切り出し方②:目的を考える
具体例1:「女性専用車両はあるのに男性専用車両がないのは不平等か」
例えば、「女性専用車両はあるのに男性専用車両がないのは不平等ではないか」という問題があったとします。
平等、不平等の問題は目的の取り違えから起こる問題の典型と言えますが、これは「平等を達成する」ことが目的だと思ってしまうために起こります。
より高次の目的を考えてみましょう。平等を達成する目的は何ですか?
それは、簡単に言えば「みんなが幸せになるため」です。逆に言えば、「みんなが幸せになれ」ばわざわざ「平等を達成する」必要はないということになります。
女性は痴漢に合うリスクがあるので、専用車両を作ることで初めて女性は幸せになります。しかし、男性は痴漢に会わず、作らないままでも幸せです。つまり、女性専用車両を作れば「みんなが幸せになる」という目的を達成できるので、わざわざ男性専用車両を作って平等を達成する必要はないということです。
ちなみに、今回「目的を考える」の説明のために話を簡単化してあります。ので、過去記事とは説明がちょっと違います。そこら辺について知りたい人はこの記事の最後に注釈があるのでそれを読んでください。
具体例2:「多数決よりもいい方法」
これは大学の講義で出された質問を僕がアレンジしたものです。ちなみに以下の話は架空のものです。
「ある大学の方針を決める会議で、教育を重視する方針A、研究を重視する方針B、生徒福祉を重視する方針Cが出た。方針A:方針B:方針C=4:3:3の割合で意見が分かれたが、どの意見も一歩も譲らず、意見を折衷することは難しそうだ。この状態で多数決をとると方針Aが採用されるが、それでは方針BC合わせて6割の意見が無視され、採用された4割を上回る。この状況で、あなたはどうするか。」
これは多数決自体が目的だと取り違えているために起こるものです。多数決をする目的を考えてみましょう。それは、「皆が納得する結論に行きつくため」です。それはつまり、「皆が納得する結論になれ」ば多数決をしなくてもよいことになります。そう考えると、「全ての方針を同時並行で行えばいいじゃないか」と思いつきます。
「目的を考える」と解法論の本質
何度も言いますが、解法論の本質は「世界をありのままに見る」です。世界をありのままに見たとき、「女性専用車両はあるのに男性専用車両がない」ことや「多数決」の問題はそれを叶えたところで何の意味もないことであることが見えます。
例えば女性専用車両の話なら、「女性が痴漢に会うから、それを防ぐために」(目的)、女性専用車両を作ろうとしたのです。しかし男性専用車両を作る目的は「男女平等を叶えるため」です。では普通男女平等を叶える目的は何でしょう。それは、「皆が幸せに暮らすため」でしょう。であれば、「皆が幸せに暮らすために」「男性専用車両を作」っていることになります。しかし、これはおかしいはずなのです。男性専用車両がなくても男性は幸せなはずです。なぜなら、「女性専用車両があるのは女性が痴漢に会うから」なのですから。
解法論の本質を使って「世界をありのままに見る」と、目的という意味があって、手段が選ばれている、という正しい道筋が見えると思います。「平等」というのはすでに人間の解釈の産物であり、「平等」をありのままに見れば、一人一人が平等を達成して幸せになっているというイメージが浮かぶはずです。
達成したいのはこの全員が笑顔であるイメージ↑そのものであり、平等自体ではないのです。これが、世界をありのままに見たときに見える、本当の目的です。
まとめ
- 解法論の切り出し方の二つ目は「目的を考える」。
- 目的を考えると、「目的という意味があって、手段が選ばれている」、という正しい道筋が見える。
注釈:過去記事との違い
今回「目的を考える」の説明のために「女性専用車両はあるのに男性専用車両がないのは不平等か」の話を簡単化しました。
どう簡単化したかというと、男性も痴漢にあうことがあることと、そもそも「女性だけ優遇されている感じが嫌だ」、と主張する人もいるだろうということを無視したことです。(僕的にはその主張は不当だと思いますが)
さらにこれに関連して「『目的を考える』と解法論の本質」のセクションでも、そのような「『女性専用車両を作ること』自体により不幸せになる人」がいるだろうことを無視しました。
これらの主張をする人は、間違いなく幸せではないでしょう。しかし、それらを主張する人は少なく、男性専用車両を作る費用と釣り合わないので、男性専用車両は作られません。
また、これらの人たちに「だったら女性専用車両も作るなよ」という主張は可能ですが、そう主張する声よりも「そこまでしなくていいよ」という声が多いため、女性専用車両だけが存在しているのです。
「みんなが幸せになる」、つまり「幸せになる人が最も多くなる」ためには、女性専用車両だけ作るのが最もいい手段なんですね。
もし、「男性専用車両を作ってほしい」もしくは「女性専用車両をなくしてほしい」という声が「そこまでしなくてもいいよ」という声よりも多くなれば、きっと鉄道会社もそれを検討し始めるでしょう。(あ、ちなみに僕は別に女性専用車両があってもいいと思っていますが)
興味がある人は下の記事も読んでみてください。
実際の使用例(一部)
他の解法