【東大院試】1か月前から始める電気系工学専攻の外部受験対策
- はじめに
- タイトル回収
- 倍率1.7倍の壁と専門科目対策の基本方針
- 院試対策の3ステップ
- ステップ1: TOEFLの目指すべきレベルと対策
- ステップ2: 願書の書き方
- ステップ3: 専門科目の対策
- 補足: 口述試験の対策
- おわりに
はじめに
この記事は東京大学 大学院工学系研究科 電気系工学専攻を外部から受けて第一志望の研究室に合格した僕(どんぐり)が、外部が受かる方法についてまとめた記事です。
でも実は、このブログでは普段はこんな記事は書いておらず、例えば次のような記事を書いています。
明らかに大学院受験に関係ないブログですね。
本当だったら大学院受験記についての別のはてなブログを作ったり、noteとかに寄稿すべきです。
なのになぜこのブログに書くのか?
それはこの受験記をエサにしてこのブログの記事を見てもらいたいからです!
これをマーケティングの世界で「なんとか」といいます(忘れました!)。
なので、皆さん、他の記事も見ていってくださいね。
しかし、世の中は本当に大学院受験についての情報が少ないです。
多分、内部から受ける人にとっては先輩とかに聞けばわかるんでしょうが、僕のように外部から目指す人にとっては試験範囲が分からなかったり、自分の大学では習ってないことが出たり、いろいろ情報が足りないものがあります。
多分、外部の受かる確率が低いのは頭脳面だけじゃなくて、その情報格差によるものもあるんだと思います。
けど、例えば僕が目指した専攻とかだったら外部が毎年百人以上受けているというのに、誰も発信してないのは不思議です。
、、いや、受かってるのは数十人だからその中から発信する人は少ないか。(悲しい気づき)
まあみなさんも、もし受かったら後輩のためにブログにしましょう!
今はnoteとかもあって、簡単に記事を発信できるので、もしかしたら収益化できるかもと思ったらやる気が出てきませんか?(導入コストが許容できればはてなも良いですよ)
(あ、僕が記事にする電気系工学専攻は競合になっちゃうのでやめてくださいね冷)
タイトル回収
さて、キャッチーな名前にしたかったので「1か月前から始める電気系工学専攻の外部受験対策」というタイトルを付けましたが、(!)
そもそも僕自身は数か月前から対策をしていることに注意が必要です。
というか、そもそもTOEFLの点数の提出が2か月前にあるので、1か月前から受験しようと思っても物理的に間に合いません。
しかし、「大学院受験に興味があるなら、たとえ今大学3年でも、今すぐ勉強し始めるべきだ」と言っているサイトもある中、僕は「そこまでしなくてもいい、仮に専門科目だけの対策ならめちゃくちゃ頑張れば1か月の勉強でも間に合う可能性はある」と、諦めないでほしいと思ったので、このようなタイトルを付けました。
まあただ、僕自身は数か月前から勉強していますし、早めに始めているほど安心感はすごいので、早めに始めるに越したことはないです。
それと、もちろん1か月というのは学部時代の学科の分野と大学院の専攻の分野を大きく変えていない場合に限ります。
でも、例えば忙しさが理由で外部受験をためらっているとかだったら、最悪夏休みに入ってからスパートをかけるで間に合う可能性もあるから、諦めないでほしい、と強く思います。
倍率1.7倍の壁と専門科目対策の基本方針
※倍率については2023年度入学試験結果から算出、少数第2位を四捨五入した。
「『1か月前からでも間に合う可能性がある』って、いやいや、外部の倍率は1.7倍もあるんだよ。みんな頑張って数か月前から勉強してて東大生とも戦わないといけないっていうのに、1か月前から勉強して間に合うわけないじゃん」と思うかもしれません。
落ちた人たちがどんな勉強をしていたかが分からないのでこれは憶測になるのですが、外部が落ちる確率が高いのは単にどんな分野が出るかが分かっていないからではないかと僕は思っています。
というのも、大学院の入試は8割方基本問題だからです。
数学でたとえるなら、f(x)=4x^3+2x+1
を積分してくださいみたいな問題が8割方で、f(x)=√sin(4x^3+2x+1)
を積分してくださいみたいな問題はあまり出ないということです。
それでも、「積分が出る」ということを知っていなければ、その基本問題さえ解けません。
東大と外部の大学では、同じような分野を習っていてもその分野の個々の概念の扱い方の重さや学ぶ深さが違ってきます。
それにより東大では授業ノートを見返して期末テスト対策の延長線上で済むものが、外部にとっては資格試験レベルになってしまっているのだと思います。
しかし、逆に言えば東大ではどんなことを学んでいるかが分かれば、院試は難しくないということです。
この理由により、専門科目対策の基本方針は「まずは東大では何を学んでいるかを知るという情報戦で勝つ」ということになります。
院試対策の3ステップ
院試対策には、時系列順に3つのステップがあります。
僕の場合は、同時並行でやる時間的余裕がなかったので、1. 願書提出日2週間前まではTOEFLの勉強、2. TOEFL受験終了から願書提出日までは願書の推敲、3. その後はひたすら専門科目の勉強という風に完全に分かれました。
でももちろん、専門科目も早めから勉強しておくに越したことはないと思います。
口述試験対策がカッコ付きになっていますが、僕は口述試験は他のステップに並べるほど大きな要素ではないととらえています。
詳しくは後述します。
これから、この3つのステップの対策について説明していきます。
ステップ1: TOEFLの目指すべきレベルと対策
一般的には(正確には玉石混合のネットの情報では)、TOEFLは80点が必要だと言われています。
ただ、ここまで高い点数が必要なのかは疑問なところがあります。
というのも、院試を受ける際に僕は研究室訪問をしたのですが、その際に教授に「TOEFLどれぐらい取ればいいんですかねぇ」と不安な顔をして聞いたところ、「うーん、でもあんまりTOEFLのウェイト高くても留学生ばっかりになっちゃうからねぇ。TOEFLは足切りには使ってないし、50点でも受かる人はいるよ」といわれました。
院試を担当したこともあるお偉い教授の方で、一受験生にそんなことを言っていいのかと内心思いつつ、「TOEFLのウェイト高くても留学生ばかりになる」という話には思わず「確かに!」と共感してしまいました。
ちなみにこの教授の名誉のためにこの話は僕の記憶違いの可能性もあると補足しておくので、あんまりこれを当てにして勉強をさぼらない方がいいですよ。
ちなみに、僕がこの会話をしたときは願書提出直前で、僕はすでに87点を取っていました。
ただ、僕はこの時別の専攻の冬入試のためにさらに高い点数を取ろうと考えていた(気が変わり結局その冬入試も受けなかったが)のですが、この教授との会話でその気力が失せました。
さて、対策ですが、具体的な対策は他のサイトにお譲りします。
僕が参考にしたのは次のようなサイトがあります。
「どれぐらいの時間勉強すればいいの?」という質問に関しては、その人の英語力次第なので一概には言えないと思います。
とりあえず一旦受けてみて、どれぐらいの点数がもらえるかというのを実感して、あとは中国TPO(無料の過去問)で対策するのが良い(もちろん問題集とかで基礎も固めつつ)のではないでしょうか。
僕は1回目は60点でした(ちなみに僕も60点行くとは思っていませんでしたが、意外と点数もらえます)。
とはいえそれが答えでは不安かと思いますので一応僕の例を書いておきます。
僕はさっき87点を取ったと言いましたが、院試だけでなく就職も考えていたので、できるだけ高い点数を取ろうとしていました。
勉強した期間としては2月末から6月中旬にかけて勉強しており、その間に3回TOEFLを受けています。
その間大学の授業はとらず、院試の専門科目の勉強も全くしていませんが、インターンやら研究室やら2週間海外旅行に行ったりやらで5月末まで忙しかったので、割と後半でスパートをかけた(ほぼ毎日終日勉強した)感じです。
これはこうした方がいいとかそういったことではなく、ただの一サンプルとして受け止めてもらえればと思います。
あ、ちなみに、TOEFLの提出日ですが、許容される受験日は8月中旬までとなっているのに、提出するテストスコアを選ぶのは願書の提出日までになっています(2023年度の場合)。
なので、結局6月中旬ぐらいまでにTOEFLを受験するのが現実的になります。
僕はこれに6月に気づいて焦りました。
ステップ2: 願書の書き方
まず前提としてなんですが、願書は口述試験で聞く話のタネだと僕はとらえています。
人数が多かった場合に書類選考があるという話はありますが、200人以上受けた2023年度でさえ書類選考がなかったので、それはめったに起こらないのではないかと思います。
つまり、願書自体にそれほどの価値はなく、それをベースにした口述試験の内容に価値がある、と思っています。
(色々あって僕は面接官の経験が数度あるのですが、これはその経験からの推測です。)
とはいえ願書が変だと口述試験で挽回できなくなってしまうので、もちろん必死で書くわけですが、(少なくとも2023年度形態の)願書で最も難しいのは「論文を紹介して興味のある研究分野について1ページ以内に記入せよ」という最後の設問だと思います。
これに関しては「東大に行くこと」が目的で、「東大で研究すること」は手段だった僕も相当悩みました。
だいたい大学4年頭の時点で興味のある研究分野なんて定まっているわけがないし、そもそも志望研究室を20も上げないといけないということは第一志望に行けない可能性も高くて、なのに志望研究分野なんて聞いて意味あるのかと思いました。
しかし、ここでも先ほどの教授の言葉がヒントになってきます。ちなみに、(特定されないようぼかして言いますが)この教授は複数の専攻を兼任しており、複数の専攻の入試形態に詳しかったです。
その教授によると「A専攻はやりたいことで入れる人を見ているけど、電気系専攻は能力で入れる人を見ているよ。口述試験があるのはオンラインで入試をやっているから替え玉かどうか僕らは分からない。だから、(研究分野を聞くのも全く無意味ではないんだろうけど、)口述試験を課して、ちゃんと本人に筆記試験の結果に見合う力があるのか見てる」といわれました。
やっぱり一受験生にそんなことを言っていいのかと内心思いつつ、この教授のおかげで僕は楽になれました。
あ、ちなみにやっぱりこの言葉も僕の記憶違いかもしれません。
それはともかく、僕は口述試験で「東大に行きたいが一番大きな理由だ。興味のある分野としては願書に書いた通り○○や××があるけど、一つだけでなく興味が分散している」と正直に伝えるという前提で、願書はとりあえず今興味がある分野について丁寧に書くことにしました。
願書自体の書き方ですが、僕は論文の導入/イントロのような書き方を意識しました。
つまり、「○○は社会に××のような利益をもたらす。しかし~~という問題がある。これを解決するために注目されているのが△△である。」という話を8割方して、「△△の先行研究としては…がある。これらには☆☆のような課題があるのでそれを解決したいor◎◎を使った新たな△△を研究したい」という話を残り2割でするのです。
社会への影響等の一般人に身近な側面を切り口にして、そこから研究したい分野へとどんどんレイヤーを下げていく感じです。
ちなみに最初の方は一般人に身近なことを説明するので、割と当たり前のことを長々説明することになるかもしれませんが、それをネットの記事とかでいいので引用した文を使って説明をすると説得力が出ます。
(論文のイントロってそんな感じですよね?)
ちなみに僕は「○○(問題)を解決したい」とは書きましたが、「どうやって」については一切書きませんでした。
でも、それで問題なかったようです。
補足: 口述試験の対策も参照してください。
ステップ3: 専門科目の対策
ちょっとここに書いていると長くなってしまうので、記事を分けることにしました。
こちらの記事をご覧ください。
補足: 口述試験の対策
色々分析する前に僕の口述試験がどんな内容だったかを説明しておきましょう。
確か5人ぐらい?の先生たちとの面接で、一人一人順に僕への質問のターンが回っていく、みたいな感じでした(多分人や面接官によると思うのでこれは僕の場合です)。
質問の内容は、うろ覚えですが、ほぼほぼ次のような感じで多分漏れはないと思います。
- リーダー格の先生1に「志望理由、修士課程で行いたい研究内容、修士課程終了後のキャリアパスについて教えてください」と聞かれた。
(自分の面接官の経験から)願書の内容をさらうあいさつ代わりの質問だなと確信した。これは願書と相違ない内容が言えていれば問題ない。 (逆に詰まるとそこを次の質問で詰められる。)ただ、僕はステップ2: 願書の書き方で説明した通り、志望理由が願書に書かれていないところにあったので、それを最初に正直に話した。 東大に行きたい理由は優秀な人から刺激を受けたいからというような方向性で話した。 また、やりたい研究内容は願書の内容に触れつつも、興味が分散していることを強調した。 - 先生2に、試験の出来と試験に出なかった分野に関して質問された。
試験の出来については「外部受験にしてはできたほうだと思う」と(我ながら生意気に)答えた。僕は問題3(情報理論、信号処理)と問題4(ディジタル回路、アルゴリズム)を選んでいて、その後個別の出来と理由を聞かれ、アルゴリズムについての質問が始まった。なお、筆記でアルゴリズムが特にできなかったような記憶はないから、単にその先生の得意分野なんだろうなと思って答えていた。インスピレーションで質問を選んでいるのか、試験内容がマージソートだったので、他に知ってるソートについて教えてください的な質問が飛んできた。僕がいくつか言ったソートアルゴリズムの中からこのソートの計算量オーダーは?みたいな感じで聞かれた。分野としては全く院試の試験範囲と同じものだったので答えに困ることはなかった。 - 先生3に、願書の内容で触れた技術について質問された。
願書で「これを解決するために注目されているのが△△である。」的な感じで触れた△△について説明した。ここら辺に関しては僕もネットで調べながら書いており全然素人で詰められるかなと思っていたが、△△という技術の超導入だけ説明したら、質問が終わった。どうやら先生たちも専門ではないのでそれ以上質問が浮かんでこないらしい。 - 先生4に、卒論と修士でやりたい研究が違う理由について聞かれた。
僕は大学での研究と修士でやりたい内容の研究が違うのだが、その理由について正直に話した。 - 最後に、趣味を聞かれた(雑談として)。
基本的にすらすら答えたので、25分ある口述試験の時間の中で、15分で先生4までの質問が終わってしまった。場が沈黙してしまったので、リーダー格の先生1が趣味を聞いてくる始末となった(もちろん雑談として)。
図に書いて説明するためにA43枚の紙の持ち込みが許可されているのですが、全部身振り手振りで説明したので僕は使いませんでした。
もともとステップ2: 願書の書き方の教授の話があったので、あまり興味のある分野方面の知識を勉強しておくことに身が入らなかったのですが、まさかここまで聞かれないとは思いませんでした。
結局、僕がした対策は当日に願書の内容をすらすら言えるようになるまで練習しただけで、願書で上げた論文も深くは読まず、口述試験時には完全に内容を忘却していたというのに、まったくそれについての質問が飛んでくることはありませんでした。
(僕の願書の書き方だとイントロダクションがメインになるので、論文は(時間がなかったので)後で読もうと思って、願書を書いた当時は軽くしか読んでいませんでした。結局「後で」が来ることはなかったのですが)
さて、以上から、僕の経験に則ると口述試験対策は筆記試験対策の延長線上でできるという感じになりそうです。
ただ、院試の問題が解けるレベルの筆記試験対策だけではだめで、内容や概念を理解する(または覚えるでもよいが。教科書以上のことは聞かれなかった)ような対策が必要そうです。
あと、僕の話に関して言うと、僕はそもそも子供のときからプログラミングをやってて大得意なので、その得意分野を聞かれたからすらすら答えられたというのはあります。
でも、口述試験で聞かれて答えたことは、完全に筆記試験用に勉強したアルゴリズムの教科書に書かれている内容そのままでした。
まあただ、興味のある研究分野についてあまり聞かれなかったという話ですが、他のブログを見てみると修論計画について詰められたとという話もあります。
なので、このセクションに書いてある情報はあまりあてにならないかもしれません。
でも、どうしても口述試験対策の時間がなかったときは、最初の興味のある研究分野についての質問で、興味が分散していることを強調しておくと、答えられなくても仕方ないね、となるかもしれません。
おわりに
この記事では院試は思ったより簡単だよということを強調して書いてきたつもりですが、油断は禁物です。
僕が思ったより簡単と思ったのは院試の勉強が終盤に差し掛かってきてからであり、それまでは僕はずっと焦りと不安と闘いながら暇さえあればトップスピードで勉強して、という生活を送っていました。
院試が終わった今となっては、最初から勉強すべき項目が分かっていたらこんなに焦ることはなかったなと思いますが、多分僕は焦りと不安があったから色々と打ち破ってこれた困難があるように思います(なんかジャンプの主人公みたい)。
僕は、専門科目の試験は満点を目標にしていました。
大学の入試なら満点なんてありえませんが、基本問題8割、応用2割の大学院入試では、満点もあり得ない話じゃないと思います。
試験当日、各大問で半分ほど解けず、とても焦りましたが、このままではいかんと頑張った結果、2周目で完答することが出来ました。
あとで教科書を見直したら結局2問ほど間違えていましたが、それでも、目標を高く掲げた故の焦りがあったからこそ、この大逆転が起こったのだと思います。
まだ院試が簡単だと思えなくて、すでに焦りを感じている人はそのままで、院試が簡単だと気が抜けてしまっている人は、満点を取らなきゃ落ちるぐらいに考えてみてください。
それぐらいの焦りを感じながらの方が、きっと本番でいいパフォーマンスを発揮できると思います。
ちなみに、この記事は僕という一サンプルの経験に基づいたもので、全員に当てはまるものではないと思います。
なので、僕/私の院試もこの記事と同じだった!という感想でも、この記事とは違った!という不満でも、後輩のためにぜひコメント欄に残していってもらえればと思います!