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【東大院試】外部受験組のための電気系工学専攻の専門科目対策

はじめに

 この記事は東京大学 大学院工学系研究科 電気系工学専攻を外部から受けて第一志望の研究室に合格した僕(どんぐり)が考える、外部が受かるための専門科目の対策法についてまとめた記事です。

 この記事は以下の記事(以下、前回の記事という)の続編になっているので、先にこれを読んでおいた方がいいかもです。

sekakota.hatenablog.com

そもそも専門科目とは

 電気系工学専攻の院試で受ける試験は1. TOEFL、2. 専門科目、3. 口述試験の3つがあります。
 電気系工学専攻の専門科目は2020年に問題構成が大幅に変わっており、それ以降以下の6つの大問から2問を選んで150分以内に解くという内容になっています。

  1. 電磁気学
  2. 電気回路
  3. 情報工学
  4. 情報工学
  5. 固体物性
  6. 制御・電気エネルギー工学

 大問は2つの中問から成り立っていて、中問は4~6、たまにそれ以上の小問から成り立っています。
 大問はだいぶざっくりとした名前をしていますが、電磁気学以外はさらに二つの分野・科目に分かれて、それぞれが中問を一つずつ作ることになります。つまり、僕が選んだ大問3と4だったら、それぞれ情報理論と信号処理、論理回路アルゴリズム・プログラミングの中問がある感じです。
 (以上は2023年時点の分析です。)

専門科目対策の基本方針

 前回の記事で話しましたが、外部が落ちる確率が高いのは、頭脳面だけではなくどんな分野が出るかが分かっていないからだと僕は思っています。
 なぜかというと、院試は数学で言えばf(x)=4x3+2x+1を積分してくださいみたいな基本問題が8割方で、f(x)=√sin(4x3+2x+1)を積分してくださいみたいな応用問題は2割ぐらいしか出ないからです。
 それでも、「積分が出る」ということを知っていなければ、その基本問題さえ解けません。

 同じような分野を習っていても、大学によってその分野の個々の概念の扱い方の重さや学ぶ深さは違ってきます。
 それにより東大生にとって授業ノートを見返して期末テスト対策の延長線上で済む院試対策は、外部にとっては資格試験レベルになってしまっています。
 だから専門科目対策の基本方針は「まず東大では何を学んでいるかを知る」であるという話をしました。

 ではどうやって「東大では何を学んでいるか」を知ったらいいのでしょう。
 勘のいい方はもうお気づきでしょう。そう、東大にもぐりに行けばいいn

 「どうやって『東大では何を学んでいるか』を知ったらいいの?東大生に聞こうと思っても電子情報工学科や電気電子工学科出身の知り合いなんていないよ?」

 安心してください。これをやるのに誰にでもできる簡単な方法が存在します。
 それは、志望研究室の先輩に聞くということです。

「東大では何を学んでいるか」を志望研究室の先輩に聞こう!

 少なくとも僕の経験では、志望研究室の先輩は自分の研究室を目指す後輩に親身になってくれるようで、メールで「東大ではどんな教科書を使ってるんですか?」的なことを質問すると、丁寧に答えてくれました。

 とはいえ、全く会ったことのない人にはそこまで親身になってくれないでしょうし、こちらとしても顔も合わせたことのないのにお願いするのは図々しいので、まずは研究室訪問をしましょう。
 研究室訪問は、先輩とお近づきになって煮え切らないカレとの関係を発展させるチャンスであると同時に、研究室の雰囲気を知り、20も選ばないといけない志望研究室選定の判断基準を増やす機会にもなります。

 ちなみに、教授側もこちらを見るから、院試で受かるためには研究室訪問しておいた方がいいとか、研究室の研究内容を完璧に理解して行かないと評価が下がる、みたいに思うかもしれません(少なくとも僕はそう思っていた)。
 しかし、(電気系工学専攻では)全くそういうことはなく、教授側がこちらを評価していることはないですし、訪問しなかったからと言って院試で受からないということはありません。
 それに、大学4年頭の時点で研究内容を完璧に理解している人なんていないと教授も分かっているので、その点は心配しなくて大丈夫です。

 むしろ、自分のために研究室訪問をしましょう。

研究室訪問の仕方

 あなたがこの記事を読んでいるのがいつごろか分かりませんが、研究室訪問するのに、早いも遅いもありません。
 どこかのサイトは大学3年生のうちに研究室訪問した方がいいみたいに言っていたような気がしますが、全くそういうことはありません。

 強いて言えば、向こうも繁忙期があるので、願書提出時直前に訪問を打診するメールを送ると、すぐに訪問可能でなかった場合に詰む可能性があるので、余裕をもって訪問するのがいいと思います。
 それを除けば、研究室を決めるタイミングや専門科目を勉強したいと思ったタイミングなど、自分が必要になったタイミングで行けばよいと思います(とはいえ研究室を決めるのも専門科目を勉強するのも早いに越したことはない)。
 僕は院試以外のことで忙しかったので遅くなり、6月後半に2つの研究室に行きました。

 やり方は「研究室訪問 仕方」みたいにググると出てくるので調べてみてください。
 訪問打診のメールを出し、日程が決まったら聞きたいことを用意して実際に訪問します。
 せっかくの機会ですから、ちゃんともれなく聞けるように訪問する前に聞きたいことはリストアップしておきましょう。
 どんなことを聞けばいいかも「研究室訪問 質問」みたいにググると出てきます。

学生に院試で使った参考書を聞く

 研究室訪問したら(というか訪問打診のメールにもその旨は含めるべきだが)、先生だけでなく学生とも話しましょう。
 そして学生から、院試の際に使った参考書や東大の学部で使われている教科書の情報を引き出すことになります。
 ここら辺は、単に質問すればいいといえばそれまでですが、学部の授業では教科書を使ってなくて先生が作ったノートで対策したとか、選択授業だったので受けている人を探さないといけないとか、そういう外部の人に簡単に情報を渡せない状況になった場合はコミュ力が物を言います。

 以下では、コミュ力がなくてもできる場合の例として、自分がどうやったかを説明しておきます。
 コミュ力に自信がある人は以下は読まなくて大丈夫です。
 (そんな心配しなくていいって?まあ確かに。理系だもんn)

 僕の場合、そもそも研究室訪問の際は純粋に研究室の雰囲気を知ることしか考えておらず、使ってる教科書を聞くという発想はなかったので、研究室訪問中はただ学生に研究室のことを聞くことしかしていませんでした。
 その後、時間がだいぶたった頃にその発想が出てきて、メールで質問をすることになります(学生のメアドは研究室のホームページに載っている)。

 みなさんは研究室訪問の際に聞くという選択肢もあるわけですが、僕がメールで質問をしたのは結果的によかったかもしれないと思っています。
 なぜなら、対面でどんな教科書使ってるんですか?と聞いたところで先輩がその場で教科書名を覚えているとは限りませんし、メールで質問するからこそ、教科書をAmazonのURLで教えてもらったり、東大で出回っている有用なノートを送ってもらうことができたりするわけです。(あ僕がもらえたとは言ってない)
 それに何より、お互い時間をかけて書くから、質問も回答も丁寧かつ明確になるところがメールのいいところです。

 聞き方としては、「院試の際に使った参考書(東大の学部で使われている教科書)など」を教えてくれないかと聞きました。
 この聞き方は「仮に授業で教科書を使ってなくても院試の時には何か参考にしたはずだから何かしらは送ってくれるだろう」というような含みがあります。(我ながら意地が悪い)
 ただ、聞いた相手が自分と同じ科目を受けていなかった場合は相手が無駄に教科書の情報を送って終わりになる欠点があります。
 自分は二つの研究室で一人ずつにメールを送ったところ自分が受ける科目の情報が手に入りましたが、そうでなかったらそのために研究室訪問を増やしてもいいかもしれません。

 なんて、自分の先輩への聞き方を書きましたが、質問した時はそんなに深いことは考えていません。(笑)
 このセクションはただの一サンプルとしてあんまり当てにせず聞いてもらえればと思います。

余談

 以下は本筋とは若干それるけど、他に僕が考えていたことについて書きます。

メールのマナーについて

 いつか自分の大学の教授が近頃の学生はメールを打つ機会がないからマナーがなっていないと嘆いていましたが、手紙を「~へ」から始めて「...より」で終わらせることを習うように、メールにも同様のマナーがあります。
 メールはいかなるときにいかなる人に送る場合でも、そのマナーを守るべきなのです。

 そのマナーは例えば、件名は空欄にしないこと、本文は宛名、挨拶、名乗り、用件、締めの言葉、署名の順に書く、などがあります(詳しくはネットで調べましょう)。
 教授に書くときはもちろん、学生に書く時も、このマナーを忘れないようにしましょう。

研究室訪問で聞くこと

 具体的な研究室訪問で聞くことの例はネットで調べてもらうとして、研究室訪問について(自分の大学の)先輩から教わったアドバイスがあります。
 それは、研究で大事なことは「何をやるか」ではなく、「誰とやるか」であるということです。
 極端な話、研究内容が興味あるものでも研究室の人間関係が悪かったら研究は辛いものになるし、研究内容に興味がなくても人間関係がよければそのうち面白くなるということです。
 それを教えてくれた先輩には、研究室訪問では教授がいないところで学生と話すことも必要だと言われました。
 なので、僕は研究室訪問をした際、学生には研究だけでなく、さりげなくその人のことや研究室全体の雰囲気のことも質問していました。

 でもこうやって学生自体に興味を向けることは、別のメリットもあります。
 それは、自然と傾聴の姿勢になることで自分に対する学生の印象が高まり、そのあと参考書を聞くときも円滑に進むかもしれないということです。(いやマジメに)
 ぜひやってみてはいかがでしょうか。

大問3と4を選んだ理由

 選ぶ大問は得意なものを選んで勉強すればよいと思いますが、ここでは僕が大問3と4を選んだ理由について話しておきます。

 まず最初に、ちなみに大問3と4を選んだ理由は、僕が電子工作を趣味にしていて、電子回路やプログラミングが得意だったからです。
 とはいえ大問2の電気回路を選ばなかったのは、大量に文字が出てくるのと割と複雑めな回路が出題されていたので、手計算や途中の図を書くのが重そうだったからです。
 というか大問2の計算量は尋常じゃない気が…。

 大問3と大問4は、情報理論(シャノンの情報理論とかのやつ)と信号処理(フーリエ変換とかz変換とか)、論理回路(AND、OR、NOT回路とか)とアルゴリズム・プログラミング(C言語が書けることとデータ構造とかが分かる必要あり、データ構造は自分は自分の学部では習わなかった内容だった)という内容になっています。
 これらの科目の難易度は人によると思いますが…、個人的にはとても簡単な部類だと思っているので、解く科目を迷っている人にはお勧めしたいと思っています。
 それに、他の大問を詳しく見てないので分かりませんが、大問3と4は計算量が少ないんじゃないかなと思っています。なぜなら、大問3と4を合わせても一番重い計算はマルコフ遷移の定常状態の確率を求める連立方程式1個だけだからです。
 あと、2020~2022年分なら過去問の解答がこのブログにあるのもおすすめポイントです。

sekakota.hatenablog.com

 ただ、プログラミングの難しさは人によると思うので注意が必要です。
 プログラミング慣れしていると大問4のプログラミングの問題は5分で解けます(多分)。
 プログラミング慣れするためには、実際に書いたプログラムをコンパイラに通して、こういう文法も書けるんだ/書けないんだということをたくさん試すといいと思います。

 または、たくさんプログラムを書きたい人は競プロのA問題、B問題ぐらいを解くのもありなんじゃないでしょうか。
 ただ、競プロはプログラミング慣れのための十分条件であって必要条件ではないので、難しかったらやる必要はないです。
 あと、院試用のアルゴリズムの勉強(と競プロをC++で解いたならC言語のポインタの理解)はどちらにせよ別でやる必要があります。

 C言語の文法の理解で最も難しいのはポインタだと思います。
 それも自分でいろいろ実験して覚えるのがいいと思います。
 過去問でいうと2020年の問題4が解ければポインタの理解は十分にできていると言えるのではないでしょうか。

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おわりに

 卒論に追われながら書いているので文章がだいぶ拙かったかも。
 みなさんの検討をお祈りしています。